紫狐亭

ゆかりこていと読みます

「色良き花の枝をこぞみる」9

今週も読みたい人だけ色良きコーナー9回目~
昨日調子こいて明け方近くまでりあらちゃん塗っていたので、
今日は眠いですとっても。
予約投稿設定して、お風呂入って今日はもう寝ようか思います_(:3 」∠)_ んへへ
この日記がアップされる頃には私はおふとぅんに。。><!


入ってなかった!(?)






 ◆蛍火◆

 皐月も半ばを過ぎ、そろそろ夏物の服を買わねばならないだろう。
 昼間に太陽の下で動こう物なら、すぐ汗ばんでしまう。
 ハナの服だけはミーヤのお古を大量にもらってあるので、探せば夏物もあるだろうけれど、問題は麗牙の服だ。
 今度こそ反物から選ばねばならないかと思うと、夏の枚数を思えばげんなりとしてくる。
 次に市場に行くときには、仕立てを頼んで来ねばならないだろう。
 そんな話をツナコにしていたときだった。
「それなら一枚はレンゲに縫わせてやってよ」
「え?レンゲちゃん?」
「結構上手いのよ。ね、レンゲ~?」
 ニヤニヤとツナコが笑って、隣の部屋にいたレンゲに声をかけると、話が聞こえていたのか、レンゲは真っ赤になると俯いた。
「お母さん・・・!」
「いいじゃない。ね」
「いや、それは流石に悪いですよ・・・・」
「レンゲも再来年辺りにはもう、嫁にやるのも考えないといけない年頃だから、それくらい出来ないと困るし、練習させてやってよ」
 そう言われてしまうと、麗牙は断り切れず、結局反物の一つはレンゲにお願いすることになったのだ。
 嫁にやる年齢と言われ、レンゲを見れば、十四、十五の娘である。
 両親に似て小柄ではあるものの、その分成熟が早いのか、丸い愛らしい顔立ちの割に、すっかり大人びた体型をしている。
 娘盛りとはこういうことかなどと、少々爺くさいことを麗牙は思った。
 そのあとハナが大きく育ったらどうなるのだろうと考え、・・・・・・その姿を自分が見ることは叶わないのかも知れないけれど・・・・・・
「麗牙・・・・・?ただいま、どうしたの?」
 ミーヤに手を引かれて帰ってきた我が家のお姫様は野の花で編んだ花冠を、頭に乗せられている。 
 今日は近所の村の家に、ミーヤと二人で出かけるとのことで、先にアカルの家に立ち寄るであろうから、麗牙は用事もあったのでハナを迎えに来たのだ。
「うん、庭の木の芽を少し分けて欲しいって言われていたからね、届けに来たんだ。一緒に帰ろうか」
 木の芽と聞いて、山椒のきつい香りを思い出したのか、ハナが一瞬渋い顔をする。
 ハナは好き嫌いはないけれど、子供の舌には辛いらしく、水で流し込むように食べていたのを麗牙も思い出した。
「よし、じゃあ帰ろうか。お邪魔しました-」
「麗牙くん、わざわざありがとうね~!また明日ね、ハナちゃん」
 玄関先で手を振るツナコたちに頭を下げてから、二人は帰り道を歩いた。
 ハナは名残惜しそうに何度か振り向いて、きっとツナコやミーヤたちと離れたくないのだろう・・・・・。
 子供には母親が必要と言う定説をまざまざと見せつけられているようで、性別を変えられるわけでなし、麗牙はこればっかりは仕方ないかと肩を落とした。
 斜め前といっても、田舎の斜め前は、家と家との間が数分歩く程度の距離がある。
「麗牙・・・」
「うん?」
「ちょっと、来てくれる・・・?」
 滅多にないハナの申し出に、麗牙は首を傾げた。
「どうしたの?」
「こっち・・・」
 ハナが麗牙の手を引いて、近くの小川の方へ連れて行った。
「夕べ、お風呂から見えた。この辺りが光ってたの。なんだろう・・・・」
 夕暮れと言っても、まだ日の高いこの時間、何かが光るとしても、川は流れるばかりで何の変化もない。
「光る・・・・どんな風に?」
 夕べはアカルに誘われて、夜釣りに出かけていったので、帰ったらハナは眠ってしまっていたし、朝は忙しくあまり時間がなかったので、ハナも聞きづらかったのだろう。
「えっと、小さく丸いのが飛んでた」
「ああーー!もうそんな時期か」
 少女が見たのはおそらく、蛍だ。
「それはね、蛍だよ」
「蛍?」
「おしりが光る虫なんだ。あれだけは私も色々あって、虫の中では何とか触れるよ」
「おしりが・・・・・・・光る・・・・・・・・・」
 何かおかしな物を想像したらしく、ハナは自分の腰の辺りを触ると、複雑そうな顔つきをした。
「夕ご飯食べて、夜になったらもう一度来ようか。良い物を見せてあげるよ」
「いいもの?」
「そう、いいもの」
 麗牙は片目をつぶって、ハナに向かって笑って見せた。
 麗牙が昔、慈善活動で演奏などをしていた頃、寺院に集まった子供達が喜ぶ、とっておきの魔法だった。


 食事と風呂を済ましてしまうと、辺りは丁度良い具合にとっぷりと日が暮れていた。
 麗牙は革袋の中から、組み立て式の笛を取り出すと、夜道を照らすためのあんどんを一つ用意した。
「よし、行こうか」
 すでにお待ちかねだったのか、いつもよりそわそわとした様子で、ハナは先陣を切るように先に外に出た。
 夜なのでしっかり手を繋ぎ、あぜ道程度の土手までやってくると、サラサラと流れる水の上に、転々と輝く蛍が見え始めた。
 板をかけただけの、簡易的な橋の上に座ると、麗牙はあんどんの火を消す。
 辺りは一瞬闇に包まれ、目が慣れると蛍の淡い光がそこかしこに、浮かび上がる。
 あんどんに入れてきた、僅かの油を紙に吸わせてしまうと、麗牙は腕を伸ばし、小川の綺麗な水をごく少量皿に入れる。
「麗牙、帰りどうするの?」
 火を消してしまったことで、帰り道の心配をする聡いハナに、麗牙は悪戯っぽく笑う。
「大丈夫、見ててごらん」
 そう言うと彼は、持ってきた笛を吹き始めた。
 吹くと言っても、音はほとんど聞こえない。
 何も音が聞こえないので、不思議そうにしているハナの目がだんだんと丸くなる。
「わぁ・・・・」
 音なき音に反応した蛍が、次々と麗牙の周りに集まっては飛んでくる。
 そうして器の水の中にも、どんどんと光が集まってきた。
 音の届く限り。
 ほの黄色い、暖かな色をした光が、二人の周りを照らし始める。
 羽矢の国に伝わる演奏技術で、大抵の横笛なら寄せることの出来る、蛍寄せの音。
 十分な数が集まったのを見計らい、麗牙は久しぶりに一曲奏でることにした。
 うるさくしては蛍たちが逃げてしまいそうな気がして、出来るだけ静かな曲を選び演奏する。
 そういえば、寺院の子供達にはこの曲は眠くなると不評だったのを思いだし不安になって、ハナの方を横目で見ると、いつにも増して真剣な眼差しで麗牙を見ていた。
 その表情に尊敬が窺えて、随分と表情が豊かになっていたのだなぁと、麗牙は思う。
 近頃は口数も増えた。
 笛を吹き終わっても、一度集まった蛍たちはそこまで機敏に、何処かに飛んでいったりはしない。
 しばらく手を休めて、儚い光の集合体を麗牙も楽しむことにした。
「麗牙すごいね。蛍、すごいね」
「これはねぇ、昔、私の父が教えてくれたんだよ」
「麗牙の、お父さん?」
「そう、この手で、母さんを口説いたんだーって言ってた」
 縁日に来ていた娘に一目惚れをした若き日の父は、蛍の季節だったのもあって、娘を夕暮れの川原に誘い、こうして蛍を集めて口説いたのだそうだ。
 ―――――妖とも知らず。
「ふぅん」
 その部分は伏せてハナに話すと、少女は興味深げに頷いた後、・・・・・・笑った。
「麗牙が、お父さんのこととか自分の事、話してくれたの。初めて」
「・・・・・」
 まだぎこちなさはあっても、蛍火に照らされたその笑顔は、それは本当にとても嬉しそうで・・・・・麗牙も思わず微笑み返していた。
 ずっと・・・・・、迷っていたことの答えが出た気がした。
 ハナが麗牙に懐いていないのではない。
 おそらく、壁があるのは自分の方なのだ。
 一年だけ預かるとか、桃に気に入られなければならないとか、人ではない子供であるだとか、小難しいことを考えてしまい、少女に大して一人の人間として接してこなかった気がする。
 ツナコやアカルたちは、何も知らない分ハナをただの子供として扱い、子供として愛情をかけているのが誰の目にもよくわかる。
 それが麗牙はどうだったろう。
 他人から見れば同じように接しているように見えていたかも知れないが、気持ちの上で一線を引いていた。
 証拠に、最初麗牙はハナが寒がっていたことすら気付かなかったし、これまで自分の事を何一つまともに話したことがなかった。
 得意な笛の音一つ、今日の今日まで聞かせてやってすらいなかったのだから・・・・。


 帰り道、あんどんの中身は蛍火に成り代わり、淡い光で夜道を照らす。
 川から離れすぎない、家が見えてきた辺りで麗牙は蓋を開けてやる。
「おかえり・・・」
 麗牙の言葉を理解しているかのように、一斉に飛び出し、蛍たちは漂うように空中に散った。
「もうかえしてしまうの?」
「うん。あんまり川から離れると迷子になってしまいそうだしね。・・・ハナ」
「うん?」
「ごめんね」
 麗牙の呟くような謝罪に、ハナは不思議そうに首を傾げた。
「変な麗牙。ありがとう、綺麗だった。・・・・・また、笛もききたいな」
 笛の音に対しても、思っても見ない反応に麗牙も嬉しくなる。
「うん。私はこれでも、楽器は沢山扱えるんだよ」
「そうなの?」
「そう。今度町に行ったら、少し楽器も買ってこよう。旅には笛くらいしか持ち歩けなかったから、他の物は持ってきてないんだよね」
 麗牙が肩をすくめると、ハナがまたひっそりと微笑んだ。
 きっと、この聡い子供には言葉にしなくても、伝わっているのだろう。




*****前回がとても短かったので、今回はちょっとわけてもいいんじゃってくらい長めに。*****
このへんからハナちゃん、既にかなりわかりやすいんじゃないかな。態度とか諸々含め。
お父さんがお母さんを口説くのに使った技を、幼女にご披露麗牙くん。
そういえば、文章的に幼女が見た物は~何て感じで、幼女って単語は使わないと思うのですが、不思議ですねぇ。
ラノベでも軽いタッチで書かれた、漫画みたいな手法であったり、文章や言葉の乱れよりもおもしろさや
テンポの良さを追求しているものでもあんまり幼女って、口語以外には使われないような気がします。
そういやなんでなんだろ。
それはともかく
ハナちゃんは童女であることを強調したいシーン以外は、あえて少女と明記しています。
実は近代に入って、少女と乙女の意味合いは逆転してしまっているのですが、
本来乙女のほうが現在の少女の意味に近くローティーンかつ処女であることの意味で、
少女というのは若い女性という意味なのでハイティーンあたりをさすんですよね。

だが時既に遅し!
私にとって少女と言う響きこそがローティーンになりかわっている…!
だからなんだって話ですけども(笑
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[ 2016/02/19 00:00 ] 「色良き花の枝をこぞみる」  | TB(-) | CM(0)
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Author:ひめむらさき
ブログでは紫子(ゆかりこ)だったんだけど、ちっとも読めないよね…読めないよね(´;ω;`)
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