紫狐亭

ゆかりこていと読みます

「色良き花の枝をこぞみる」10

10回目だー
もうきっと読んでいる人は居ないかも知れませんが!いいのです。
そこはもう、自己満足的な備忘録的なあれみたいなものなのでいいのです。
ところでうち、玄関に自転車が置いてあるんですけど、さっきちょっと玄関に用事あってごそごそしてたら、それに脚ぶつけて青あざ出来て辛いです。





 ◆雨の話◆


 梅雨の間、外の仕事が余り出来ないのもあって、笛以外にも町で買い求めた安物の二胡を鳴らした。
 ハナは普通の子供と違い、どちらかといえば静かな曲を好むようで、麗牙の好きな曲を演奏するたびに、嬉しそうにしているのが、彼自身も嬉しかった。
ハナの態度は麗牙の心を映す鏡のようで、普段からよく笑うようにもなったし、他の感情表現も随分と豊かになっているようだ。
 梅雨が明ける頃になると、彼女は笛の音を鳴らすことだけは出来るようになっていた。
 鳴らすだけでも進歩である。
「どうして麗牙みたいな音が鳴らないんだろう?」
「そんなすぐ出来たら、私の立場がないじゃないか」
「むぅ・・・」
 見よう見まねだけでどうにかならないのが楽器である。
 とはいえ、丸い頬を膨らませて、真っ赤な顔をしながら笛を一生懸命吹く姿も、稚くて愛らしいものだ。
 雨が降ってミーヤたちと遊べないのは寂しいだろうと訊けば、ハナはあっさりと首を振った。
「麗牙と一緒の方が楽しい」
 今は笛に夢中なのか、ハナはきっぱりとそう言うと、また笛を吹く。
 そんなこと言ってもらえる日が来るとは思わなかった麗牙が、勝手に感動していると、玄関の扉を叩く音がした。
「麗牙くーんいるー?」
 ツナコだ。
「あ、はーい!今~」
 ツナコの声に、ハナも笛を置いて一緒に玄関にやってきた。
「こんな雨の中、どうしたんです?」
「んもう、ほら、夏物の着物出来たから持ってきたのよ。レンゲが自分では持って行けないっていうくせに、早く持ってってうるさいったらないの」
「ああ~」
 そういえばレンゲに頼むという話を、一月ほど前にした気がする。
「とにかく、中へどうぞ。ちょっと散らかってますけども」
 雨脚は強く、屋根を叩く水の音がばたばたと鳴っている。
 傘をさしていても、あっというまに持ってきた荷物も濡れてしまいそうだ。
 座敷に上がってもらおうとすると、ツナコは首を振って上がりかまちの方へ腰掛けた。
「雨!強いでしょ?こないだ植えた苗が心配になっちゃってね。長居は出来ないのよ。あ、そいでね、ついでにあたしが縫ったんだけど、これ。うちのミーヤとお揃いなのよ。ハナちゃんにどうかと思ってね」
 薄手の生成り生地に金魚の絵がついた、夏物の子供の着物だった。
「ええ?いいんですか・・・?」
「いいのいいの。反物って反物でしか買えないじゃない。ミーヤの年頃って、調度中途半端で、子供一着分くらい余っちゃうのよ。だから縫っといたの」
 アカル夫婦には・・・特にツナコには本当によくしてもらいすぎて、申し訳なくなる。
「ツナコさん、ありがとう」
 ハナがどこで覚えたのか、前に綺麗に手をついて正座した状態で、ツナコに対して深く礼をする。
「きっとハナちゃんに似合うわ。そいじゃ私は行ってくるから!」
 ツナコは慌ただしく、また傘を差すと土砂降りの中、走っていってしまった。
「ハナ、良かったね」
 いつの間にか麗牙はハナを、ハナちゃんではなくハナと呼ぶことが増えていた。
「うん・・・」
 初めてのお古ではない着物だ。
 女の子なら嬉しいだろう。
 麗牙も着物の一枚も自分で縫えたなら、ハナに作ってやるのにと内心で、何故かツナコに張り合っていると、ハナが横目で麗牙の新しい着物を見ていた。
 夏らしい薄い灰青でレンゲに仕立ててもらった着物は、ツナコが上手いと言っていただけあって、店で仕立ててもらった物と遜色ないように見える。
「それ、レンゲさんが縫ったの・・・?」
「うん?そうそう。なんか練習になるからーって話で、断り切れなくてお願いしちゃったんだよ。へー・・・うまいもんだな~」
 麗牙は何の気はなしに、風呂敷の中から届いた着物を取りだして広げてみた。
「ふぅん・・・・」
「大きさもぴったりみたいだね。店で仕立ててもらったものより、良い感じかも。レンゲちゃんはきっといいお嫁さんになれるだろうなぁ。どうだろう、この色似合うかな?」
 麗牙が自分の着物を広げたついでに当ててみせると、ハナは無言で立ち上がった。
「・・・・・・・」
 そしてそのままツナコにもらった自分の着物をたたむと、奥の部屋に片付けに行ってしまう。
「あれ、ハナ?ハナちゃーん?」
「別に・・・・・・似合ってるよ」
 ハナには珍しく、なんだか投げやりな口調でそう言うと、戻ってきてまた笛を吹き始めた。
 勢いよく力任せに吹きすぎたのか、今度はやたらと甲高い音を家の中に響かせた。



*************
ぷぴーっ


色良きも10回目。
ロイヤルセレブリティー要素が少しもないので、とてつもなく庶民めいておりますが。。。庶民めいたひとたちののんびりしたお話しですので、しかたがないのです。
自分の書く話って自分で挿絵しようという気にならないんだけど、なんでなんだろう…ふっしぎー。
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[ 2016/02/27 02:27 ] 「色良き花の枝をこぞみる」  | TB(-) | CM(0)
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ひめむらさき

Author:ひめむらさき
ブログでは紫子(ゆかりこ)だったんだけど、ちっとも読めないよね…読めないよね(´;ω;`)
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