紫狐亭

ゆかりこていと読みます

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「色良き花の枝をこぞみる」3

少し短めですが 前回の続きです。
本来1と2で分けるほどの内容ではないのですが、文字数(

小説の系統って本当に、文章の合う合わないがすごく大きくて、例えば内容面白くても読めない物ってありますよね~
逆に話つまんなくない?これ...みたいなのでも読めてしまう文章ってあるから不思議。

あ、ちなみにこれは 言っておくと別に全編通して、ちっとも「面白い話」じゃないです。
わかりやすいコミカルなシーンもこれといってありませんし、終末へと向かう季節の移り変わりを楽しむための物語です。
鬱展開とかではないですがっ
ブログで折角公開するのだし、少しだけ幸せな未来の為の伏線を入れていこうかなぁ。


では読みたい人だけ↓

◆仙人の住む島◆ 2


 十七になったばかりの頃だった。
 麗牙は見た目通り気が優しく、学業にかんしても書物を読み解くことや、芸事の類、歌や楽器の演奏を得意としていた。
家は裕福ではなかったが政府の下級役人の家なのもあって、生活は不自由のない質素という感じで、多少金のかかる国の教育施設にも通わせてもらっていた。
 学業の傍ら小遣い稼ぎと言うほどでもないが、月に数度、近所の寺の住職に頼まれて歌や、楽器の演奏を子供達に読み聞かせるような仕事を、半慈善活動的に請け負ってもいた。
 その日・・・・・・・・・・いつものように部屋で子供相手に二胡をかき鳴らしていると、たまたま寺の近くで馬に蹴られたという怪我人が一時的に運ばれてきた。
 それまでも怪我人を目にする事は何度かあったというのに、何故か苦手な血のにおいがひどく甘いものに感じられ、麗牙は眩暈を覚えた。
手伝おうと近寄ったものの、倒れそうになってしまう麗牙に、住職は苦笑すると手伝わなくて良いというように、首を振った。
気の弱い若者だと思われたのだろう・・・・・しかし、麗牙の脳裏には傷口を屠り、肉を食い千切りたいというような妄想とも欲求とも言える感情に頭が支配されはじめ、いけないと思ったのに止めることが出来ず、怪我人を助け起こしたときに、手についた他人の血を、麗牙は口に運んでしまった。
その瞬間に身体を駆け巡る歓喜のようにも、吐き気のようにも感じる息苦しさに、彼は口を押さえながら寺院を飛び出した。
他人からは血が恐ろしくて逃げたという風にうつった程度の事で、誰も追ってこなかったのは救いだろう。
そのままどこをどう走ったのか、寺の裏の山をひた走った。
不思議な事に息切れ一つせず、身体は恐ろしく軽い。気付けば辺りは闇に包まれ、大きな月が麗牙を照らしていた。
「目覚めてしまったか・・・・」
 母はそういった。
 思えば母がどうやって、闇雲に走った麗牙の居場所を突き止めたのか。
 真っ白の髪をなびかせ、朱い瞳をした、自分と大差ない年頃の女性を何故、母だと思えたのか。
「・・・・・・母を許しておくれ」
 彼女の白い指が麗牙の顎の辺りを撫でた。
 指は心地よく、もっと撫でて欲しくて麗牙は首を上げた。
「そなたは・・・・この母の子。すまない・・・」
 何故母が悲しんでいるのか、何を謝っているのか、麗牙には良く分からず、首を傾げた。
 不意に月の光に照らし出された、獣の影が目に入る。
 ―――――――――――大きな獣だ。
 人の何倍もある獣は、犬神とも狼とも・・・・・・、影は二つ。
 寄り添うように、二匹の獣の影が青い世界に、黒々と映し出されていた。
 幼子のように純粋に母を慕う獣の思考が吹き飛び、急激に人としてのそれになりかわり、麗牙は絶叫した・・・―――――――――――。

 しばらく麗牙は立ち直れない程にふさぎ込み、泣き暮らした。
 以来、母との確執はひどく、何も知らない父は数年の間に流行病で亡くなってしまった。
 それを機に互いに家を出たものの、彼は悩んだ。
 時折、人を喰いたいという欲求がこみ上げてくる。
 別に人に限ったことではないのだけれども、等しく肉として映る瞬間があるのだ。
 完全な妖である母と違い、人の血が入った麗牙は妖としての理性が逆に薄い。今に、自分が人を襲ってしまうのではないかという恐ろしさから、働く事もままならなかった。
 しかし腹を空かせば余計に、欲求は高まる。
 人の世で働けば人と関わる。
 どうしようもない無限の繰り返しに、麗牙は母の帰った妖の里を一度訪ねた。
「そこで・・・・・・仙人は何も喰わずとも、生きられるという話を、叔父から聞いたのです」
 半妖である麗牙は里にも長期的には受け入れてはもらえない。
「ふむ・・・・・・・・」
 麗牙の長い、長い話を、楼蘭は戸口に立ったまま聞いていた。
「そうして何年もかけて調べたのです。・・・ここに仙人がいるとききました」
 灯台もと暗しというほとには近く感じたけれど、志摩の国のような閉鎖的な国ならさもありなんと、麗牙は思い切って島を訪ねたのだ。
 彼は十七に見えても、実際はすでに二十代も半ばほどになっていた。
「儂は言霊が見える。嘘はないようじゃな・・・・」
 翁は険しい顔のまま、薄汚れた口ひげを撫でた。
「では・・・!?」
「じゃが、弟子にするには、そう、桃。そうじゃ、ああ・・・・・そうか。そうであったのか・・・・なるほど天の采配・・・・そうしようかのぅ」
 楼蘭は独り言のようにぶつぶつと呟くと、麗牙の前にしゃがみ込んだ。
「そなたが仙人になれるかどうかは儂には決められぬ。桃に気に入られなければ、仙人にはなれぬのじゃ」
「桃・・・・?」
「そうじゃ、桃。仙人の桃の話くらい聞いたことあるじゃろう?桃が良いと言えば、お前は仙人になれるじゃろうよ。そこで、そなたに桃を預けようと思う」
 天界の桃が不老不死の妙薬となるという話なら、伝説程度には麗牙も聞いたことのある話である。
 さも良い考えだとでも言うように楼蘭は顎髭を撫でた。
 桃と言われて頭に浮かぶのは、良く熟した丸くて白い、夏に喉を潤すあの果物だった。
 あの果物を供えて、毎日祈りを捧げでもすればいいのだろうか?
 麗牙が跪いたまま、神妙な顔をしているのを見て、楼蘭はおかしそうに鼻で笑った。
「中へ」
 楼蘭は庵の中へ着いてくるように顎をしゃくる。
 老人用の小さな入り口に頭をぶつけないよう、麗牙は緊張したまま足を踏み入れたのだった。




**************************

苔むした東屋と、漢方薬のにおいが充満してそうな、汚いわけじゃないけど雑多な仙人のお部屋。
そんなのもいつかは絵にしてみたいですね(*´▽`*)お部屋コレクション!
描きたい物が沢山あって困ってしまう。
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[ 2016/01/12 00:13 ] 「色良き花の枝をこぞみる」  | TB(-) | CM(2)
ここまで読んだ!
ふぅーむ、まだ色々と露呈してない部分があって気になりますな...

簡潔かつ簡略に文が書かれていて中々良いですなぁ〜
[ 2016/01/12 02:17 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
> ここまで読んだ!
> ふぅーむ、まだ色々と露呈してない部分があって気になりますな...
>
> 簡潔かつ簡略に文が書かれていて中々良いですなぁ〜

説明回過ぎて申し訳ない急ぎ足冒頭ですみませぬ@@
こっから唐突にまったりすることでしょう・・・(多分
[ 2016/01/12 08:48 ] [ 編集 ]
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プロフィール

ひめむらさき

Author:ひめむらさき
ブログでは紫子(ゆかりこ)だったんだけど、ちっとも読めないよね…読めないよね(´;ω;`)
お絵かきするます。
motimotiponponpon@yahoo.co.jp 御用の方はこちらまで。
http://tinami.jp/c/58005 TINAMIも登録してみました。(2015/12)

pixiv(´¬`)↓

 


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