紫狐亭

ゆかりこていと読みます

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「色良き花の枝をこぞみる」7

うーむ!メンタルヘルシング!(?)
冬はいけませんね。寒くて、気持ちが沈みがちです。
雪でも降れば良いのに、うちのあたりはうん十年に1回レベルでしか雪がつもらないのだとか…。
去年奇跡的につもったのですけど、母上がお嫁に来てから初めて見たっていってたので、一体いつから降ってなかったんでしょうねぇ。謎です。
雪がそんないいものではないのは知ってるけども…><
それはともかく今週も読みたい人だけどうぞな色良きさんです。
誰か、挿絵 して…(←








◆蜥蜴と青蟲◆


 ツナコの言葉から、麗牙はハナに何でも教えるように話しかけるようになった。
 薪拾いでも畑仕事でも、なんだって無理のない範囲で連れて行けば、少女は見よう見まねで手伝おうとしてくれる。手伝うというよりは、真似しているだけかも知れないけれど。
 島に来て数日。アカルから勝手に食べて良いと言われている畑の世話は、麗牙がするようになっていた。
ハナ本人が手伝う気があってもなくても、何しろ身体が小さいので、出来ない事が結構ある。
 麗牙が鍬を振り回して土を耕していると、そばで草むしりをしていたはずの少女が、いつの間にか白菜を眺めていた。
 藁で縛られた冬越えをした白菜は、いい加減食べきってしまわねばなるまい。
「麗牙、これはなに」
 たった数日で変わったことと言えば、ハナから話しかけてくることが増えた事だろうか。
「ひえわうああああああ!?」
 ハナは青虫を手に乗せて、麗牙の元にやってきた。
「?」
「あああ、ああ、私はにょろにょろしたのとか虫とか駄目なんだよ!とにかく、置いてきて!」
 畑仕事にはつきものなので触れないというほどではないが、唐突に目の前に持ってこられて平気かと言えば、また別の話だ。
「わかった」
 麗牙が大騒ぎで逃げる仕草をすると、ハナは無表情で白菜に青虫を戻しに行った。
 別に白菜に戻す必要はないんだけど・・・・と麗牙は呆れたが、その手の常識は彼女に期待出来ない。
 しばらく作業を続けていると、草むしりに飽きたらしいハナが、今が満開の桜を見上げているのが見えた。
 その後ろ姿を視界の端に麗牙は、夏野菜用の種を埋めていく。
「麗牙、これは?」
 目を離した隙に、今度は木の近くにいたらしい、カナヘビを連れてやってきた。
「ぎゃああああああああああああああああああ」
 今度こそ麗牙は叫び声を上げてハナから逃げるように、飛び退く。
 カナヘビとは茶色く小さな蜥蜴の一種で、尻尾を切って逃げていくあれである。
 見ている間に尻尾を切り離し、ハナの手をすりぬけて草むらを駆けていってしまった。
 小さな掌には、にょろにょろと動く尻尾だけが残されて、ハナも驚いて凍り付いている。
「動いてる・・・・」
「ハナちゃん!?ほんと、もうやめようね!?さっきから変なものばっかり連れてこない!」
「変なもの?」
 そうだと言いかけて麗牙はぐっとこらえる。
 もうこうなったら完全に子育てみたいなものだ。
 好奇心旺盛な年頃の少女であるハナにとって、見るものすべてが目新しいのだろう。
「いや、変じゃないけどね。ああいうものって場合によっては虫でも蜥蜴でも、毒を持ったものもいるんだ」
「毒・・・」
「強い毒を持った虫や蛇、蜥蜴なんかだと、噛まれたり刺されたりすると死んじゃったりすることだってあるんだよ?」
 噛んで言い含めるように麗牙が諭すと、ちぎれた蜥蜴の尻尾を握ったままのハナは、尻尾に視線を落とした。
「・・・・・・・・・・死ぬ・・・・・・・・」
 死とは、昨日納屋の掃除をしていたときに、鼠の死体を見つけたあと、二人でお墓を作ったときに教えたことだった。
 ハナは多少難しい言葉を使っても、言い聞かせれば理解してしまう。
「それに蜥蜴さんだって、尻尾が切れたら痛いから、もう触っちゃ駄目だよ?本人も好きで切ってるわけじゃないからね」 
「うん・・・ごめんなさい」
 麗牙は気にしなくて良いと言うように、ハナの頭をぽんぽんとしてやると、作業の続きに取りかかる。
「おーい麗牙―」
 朝の一仕事から帰ってきたアカルが、大きく手を振ってこっちにやってくるのが見えた。
「あれ、おはようございます、アカルさん」
 ハナも麗牙に習い、アカルに向かって頭を下げている。
「明日村で朝一番に舟が出るからおまいさんたちも、花島行ってみるか~?」
「花島・・・って、ああ~」
 初日に舟の上で聞いた、あの島のことだ。
 しかし、村でとなれば相当な多人数である。小さな子供であるハナを連れて行って良い物かと、心配になる。
「ハナちゃん、花島行ってみたい?」
「花島?」
「お庭のほら、桜の木とかがいーっっぱい咲いてる島があるんだって。行く?」
 少しの間があって、ハナなりに考えたのか、こくりと頷いた。
「行くんだそうです。お金とかかかりますか?」
 ハナが自ら行くと言うのだから、麗牙としては多少なら、値段がはっても連れて行ってやりたかった。
「いんや、村で舟を出すだけだからそんなこたないよ。ただし弁当は持ち寄りだから、
重箱いっぱいに、持ってかないとなんねぇ」
「えっ」
「心配せんでも、一種類で良いんだ。案外かぶらないもんなんだよ」
「へぇ、そうなんですね」
 重箱いっぱいに一種類の総菜を詰めるだけなら、麗牙にも出来そうだった。
 彼は別に料理は下手ではないのだが、流石に弁当を重箱いっぱいになると作ったことがなかった。
 食器の類いは、アカルの祖父母が使っていた物がそのままになっておいてあったので、洗って使わせてもらっている。重箱も棚の上に乗っていた気がする。
 とはいえ、人がたくさん居る場所に、ハナを連れて行くのはまだ心配だった。
 



◆煮芋◆


子供用の着物というのは、単衣を腰で結んで上から被布を被るだけなので、ハナはすぐに自分で着られるようになったようだ。
 意外にもお古の中から、自分で毎朝着てくるから、流石女の子ならではといったところだろうか。
 今日は萌葱色の単衣に、薄紅の被布を合わせていた。
 意識的に合わせているというよりは、数枚ある物を洗濯が終わった順に着ているだけのようにも見える。それでも紫摩の女性用の着物は、何を組み合わせても色合いが美しい。
「うーん・・・・・」
 翌日は・・・・残念なことに雨だった。
 心なしかがっかりしているように見えるハナの小さな背中。少女は立ったままぼんやりと、縁側の廊下から庭の桜を眺めていた。
 今が満開の桜は、おそらくこの雨で散ってしまうだろう。
 一度流れてしまえば、船が出ることは今年はもうないと思われる。
 ハナが来年どこへ帰るのかは、楼蘭の話ではよくわからなかったけれど、二人にとっての次がもうあるのかわからない。
 そう思うと、麗牙はなんだか切ないような気分にもなってくる。
 ハナのお眼鏡にかなわなかった場合、麗牙も来年にはこの島にはいられないかも知れないのだ。
「ハナちゃんー」
「うん」
「浜からなら、花島見えるから見に行こうか」
「うん」

 雨のしと降る山道を、油紙を貼った旅人用の小さめの傘をハナに使わせて、麗牙は自分は納屋に置いてあった笠と蓑を借りる事にした。
 片手には昨夜大量に作ってしまった芋の煮物の入った重箱を下げて、ハナの手をひく。
 小さな子供の足では、片道すら辛かろうに、ハナは何も言わない。
 互いに無言で数十分の道のりを歩いた。
 雨雲が垂れ込めた空の色を映した海は、冬のような鉛色。
 浜に着く頃には雨は止んでいたけれど、生憎と霧のようなものが立ち上り、花島は白っぽく霞んで見えた。
 なんだか気分が沈んで麗牙が肩を落としていると、ハナが海の方を指さした。
「麗牙、あれ」
「ん・・・?」
 海流の関係で島に流れ着くのだろう。海面に浮かぶ無数の花筏が、 波打ち際を薄紅色に染めていた。
 昨夜の雨で相当散ったようで、これはこれで美しい。
「綺麗だねぇ」
「うん」
 気を取り直して、麗牙は自分の着ていた蓑を浜にしくとハナを座らせ、自分は濡れるのも構わず砂の上に腰をおろした。
 粉のような砂の表面は大して濡れた感じもしないので、麗牙は気にしないことにする。
「ハナちゃんは、来年どこかに帰るの?」
 突然問われた事に、ハナは首を小さく傾げたが、すぐに返事が返ってきた。
「かえる」
「そっか、帰るのか。一年後ってことは春までって事だし、来年の花島は間に合うと良いね」
 麗牙はほっとした。この少女には帰る場所があるということに。
 麗牙の中でどうしても、楼蘭のあの要点を得ない言い回しと、仙桃の事がずっと引っかかっていたのだ。
「うん」
 今年は花冷えがひどかったので、来年が例年通りならきっと間に合うだろう。
「じゃあ来年は、一緒に行こうか」
「うん」
 ハナの表情からは何も窺えないが、少女は深く頷いてくれていた。
 持ってきた芋の煮物を広げると、二人は遅めになった朝食にする事にした。
「ごめんね、お弁当色々あってお芋しか入ってないんだけど・・・我慢してね」
 別にこれしか作れないわけじゃないことは、ハナも知っていることだ。申し訳ないけれど、家に置いてきた分を考えると、数日は芋の煮物と付き合わなければいけないことになるだろう。
 麗牙にとっては好物なので苦にもならないのだけど、ハナが何を好きかはわからなかった。
 ハナは自分の箸を取ると、きちんと手を合わせてから食事を始めた。
 たった数日で子供用の小さな箸なら、器用に使いこなしているのを見て、改めてハナの順応能力の早さに麗牙は内心舌を巻く。
 ふと海上を見れば、雨上がりの空に、厚い雲の間から太陽の光が、羽衣のように差し込んでいた。
 花筏と天上の光が相まって、水面そのものが淡い薄紅と金の色に輝く。
「おおー見てごらんハナ、あのあたり。お日様が差し込んで綺麗だねぇ」
「うん」
 表情こそ薄いが、ハナは思ったよりしっかり共感していてくれているようで、口をぽっかりと開けて、一緒になって空を見上げていた。
あんまり見とれていたせいか、ハナは持っていた箸から芋を取り落とした。
 その転がった芋を拾い上げると、砂を払って食べようとするものだから、麗牙が止める。
「ハナちゃんそれはさすがに食べなくていいよ。砂まるけだし・・・」
 ここら辺の砂は粒子が細かく、とてもはらいきれるものではない。
 もったいないけれど、仕方のないことだ。
 ハナは拾った芋を両手で持つと、何を思ったのか黒松の林のほうへ走っていった。
 麗牙は残りの芋の煮物を食べてしまうと、重箱を閉じてから風呂敷で包む。
 しばらくしてもハナが戻ってこないので、その場を片付けるとハナの方へ近づいていった。
「何してるんだい?ハナちゃん」
 ハナは芋が埋まる程度の、穴を掘っていた。
「埋めるの」
 そこへ先ほど転がった芋を入れると、そっと砂をかけていく。
「ハナちゃん、そのお芋さんは、火を通しちゃったから芽は出ないんだよ・・・」
 きっと一昨日、庭に植えた芋や種から生まれた発想だと思い、吹き出しそうになった麗牙は、ハナの頭を撫でてやる。
 ハナは小さくかぶりをふった。
「お墓」
 これには神妙な気持ちで、麗牙もなんと言って良いのか困っていると、ハナは芋の墓に向かって手を合わせた。
 不思議な発想は子供ならではあるが、それでも命をいただくということを、彼女なりに理解しているということなのだろう。
 おかしいと言えるような断固たる理論もなければ、怒るような場所でもないので、仕方なく麗牙も一緒に手を合わせておいた。




******************

金魚の墓はあるのに、どうして秋刀魚のお墓はないんだろうね。
そんな気持ちから生まれた茶話です。

蜥蜴と青蟲が短かったのと、話の都合上続き物なので、2話入れてみました。
でもこの話基本的に短い感じの物を少しづつというテイストなので、のんびり幼女と青年のやりとりをしばらくは繰り広げていくだけな感じです。
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[ 2016/02/05 19:22 ] 「色良き花の枝をこぞみる」  | TB(-) | CM(0)
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Author:ひめむらさき
ブログでは紫子(ゆかりこ)だったんだけど、ちっとも読めないよね…読めないよね(´;ω;`)
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http://tinami.jp/c/58005 TINAMIも登録してみました。(2015/12)

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